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能力者たちが謎を追う『ノワール・レヴナント』 浅倉 秋成 (著) 感想

こんにちは、こうへいです。

小説『ノワール・レヴナント』 浅倉 秋成 (著)を紹介します。

ミステリとファンタジーが合わさったような小説です。

768ページ(文庫)とかなりの長編ですが中だるみもなく、一気に読めました。

オススメ度:

『ノワール・レヴナント』あらすじ

僕は他人の背中に数字が見える。その人の今日の幸運レベルを示し、基本値は50。しかしある日、同級生の弥生の背に85という数が! ラッキーのおこぼれを期待して彼女と行動を共にした僕は、同じく妙な力を持つ仲間と出会う。本を指でなぞって内容を記憶する。毎朝、今日聞くことになる台詞を予知する。念じると触れたものを壊す――。僕たち4人を結びつけたのは、ある少女の死の謎だった。全ての偶然が必然に変わる群像青春ミステリ。

『ノワール・レヴナント』おすすめな人

超能力者が登場する小説が好きな人

この小説には4人の超能力者が出てきます。

・大須賀駿:他人の背中に、その人の今日の幸運レベルを示す数字が見える

・三枝のん:本の背表紙を指でなぞると内容が記憶できる

・江崎純一郎:毎朝、今日聞くことになる台詞を5つ予知する

・葵静葉:念じると無機物でも有機物でも触れたものを壊せる

謎を追い、解決するのにそれぞれの能力が遺憾なく発揮されます。

僕はファンタジーが好きですし、ワクワクしながら読みました。

超能力を活かしたバトル系や、謎を解決するために能力を駆使する小説どちらも好きです。

井上夢人伊坂幸太郎の作品が思い浮かびます。

偉人の名言が好きな人

本をなぞって記憶できる能力を持つ三枝のんは、頻繁に偉人の名言や書籍の一文を引用します。

朝井リョウの小説『チア男子!!』に出てくる溝口と似ています。
『 チア男子!! (集英社文庫)』 朝井 リョウ(著) - こうへいのブログ (koheinoblog.com)

会話に名言を織り交ぜるところだけでなく、英語の発音がひどいところなど。

名言は知らないものがほとんどでしたが、ストーリーの中で出てくるとスッと入ってくる気がします。

名言好きな方は、より楽しめるのではないでしょうか。

キャラ読みならぬ名言読みもできる作品です。

Kindle Unlimitedに入っている人

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実際僕もKindle Unlimitedで読みました。

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『ノワール・レヴナント』感想

かなりの長編でしたが、いろいろな要素が盛り込まれ、終始おもしろかったです。

謎はいくつか残るものの、ハッピーエンドで幕を閉じました。

あれだけ長かったのに正直終わってしまうのが名残惜しいとまで思ってしまいました。

後日談もほしいくらいです。特に、江崎の将来です。

江崎はいろんな意味でいい仕事をしてくれ、一番好きなキャラクターです。

とっつきにくい性格のようですが、実は真摯な性格というのが伝わります。

著者である浅倉 秋成は『伏線の狙撃手』という異名を持ち、この作品ももれなく伏線が張られています。

他に個人的には、比喩表現が豊かな印象もあります。

例えば、この小説には以下のような言い回しが出てきます。


・あたしの人生という名の歴史においては、『読書』は決して長期的な政権を誇っていない。

・それはまるで声変わりのように唐突に自覚の外からやってきて、

今まで数々の小説を読んできましたが、正直比喩はさらっと流していてあまり気にしたことがありませんでした。

最近この著者の作品を読むようになり、おもしろい比喩表現だなと気づかせてくれました。

こういうところにも作家の色が出てくると思うので、これから他の小説を読むときにも注目です。

タイトルにもなっている「ノワール・レヴナント」について。

作中で登場するトランプゲームの名前です。

少し気になったことがあったので調べてみると実際には存在しない、著者が考えたオリジナルでした。

気になったというのが、ルール・役説明を読むと「ディーラー VS プレイヤー」で圧倒的にプレイヤー有利なため実際に存在するのかということです。

ただオリジナルということであれば正直気になりません。

実際、江崎がプレーするシーンはこの物語で一番盛り上がる場面でした。

この小説のためにゲームを考えるのは手が込んでいますし、うまく見せ場にしています。

『ノワール・レヴナント』印象に残った言葉


一つのことに執着すれば全体は見えず、反対に全体を見れば詳細は埋もれる


かの有名なゲーテも言っている。《涙とともにパンを食べたものでなければ、人生の味はわからない》
苦しみと悲しみを乗り越えてこその人生なのだ。


本当に子供が欲しいと思っている人間、ひいては子供を得るに値する人間のみが子供を手にするべきだ……それも相応の対価を支払って。

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