小説

『僕たちの戦争』 荻原 浩(著)感想【ラストは一体どちらなのか!?】

こんにちは、こうへい(@koheinoblog)です。

小説『『僕たちの戦争』 荻原 浩(著)を紹介します。

戦時中の海軍練習生と現代の青年が入れ替わるタイムスリップものです。

過去の人たちがいたから今があると実感させてくれる物語でした。

オススメ度:

この小説の魅力

入れ替わった直後の2人、そして周囲の混乱

それぞれの生活に順応していく2人

過去と現在のリンク

あらすじ

2001年9月12日―NYのビルに飛行機が突っ込んだ翌朝も、尾島健太はサーフィンをしに海に出ていた。が、突然の大波に呑み込まれ失神、目を覚ますとそこは1944年だった。一方、1944年9月12日―帝国海軍飛行術練習生の石庭吾一は、訓練中に雷雲に突っ込み墜落、現代へとタイムスリップしてしまう。そっくりな容姿のせいで互いに入れ替わってしまう格好になった二人。健太は大戦末期の軍隊でサバイバル生活を送ることになり、吾一は堕落した祖国の姿を嘆きつつも、健太の恋人、ミナミに惹かれてゆく。過去を知る者と、未来を知った者。二人の若者を通して描く、あの戦争、この時代。

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感想

描写される現代がかなり極端なところを抽出したなとは思いましたが、吾一の「これが、自分たちが命を捨てて守ろうとしている国の五十年後の姿なのか?」という心情がとても響きました。

戦争時代を生き抜いた方々が実際にそう感じているのではないかと思うと、襟を正しました。

2人がさらにタイムスリップして、元に戻ってからの生活も描かれると予想していたので結末は意外でした。

海から出てきたのは一体どちらなのでしょうか?

解釈は読者に委ねられています。

僕は、どちらであってもいいなと思います。

軍隊でのしごきは現実にもあったであろうことは想像できますが、その班長が特攻隊に志願しないというのが生々しいです。

ミナミの祖父母は、健太がタイムスリップしていなければ結婚していなかったのかもしれません。

それだとミナミがいることの辻褄が合わなくなってしまいますが…。

鍵付きで四隅が金具になっているトランクが現代側で出てきたので、自分の頭の中でつながりました。

文子は健太への恋心を一生忘れずに生きたのだと思うと切ないです。

もちろん鴨志田もすごくいい人だし、お祖母さんも後悔はしていないと思います。

印象に残った言葉


表示板の妙な書体の日本語の下には、やつらが混乱しないよう、小さく英文字が入っているというのに。


君死にたまふことなかれ


死の危険がない安全な場所にいるやつらが戦争を考えて、命令しているんだろう。

知らなかった単語・知識

ブーゲンビリア

ブーゲンビリア(Bougainvillea)は、オシロイバナ科ブーゲンビリア属に属する熱帯性の低木である。和名はイカダカズラ(筏葛)、ココノエカズラ(九重葛)である。

ブーゲンビリア - Wikipedia

瘧(おこり)

《隔日また周期的に起こる意》間欠的に発熱し、悪寒おかんや震えを発する病気。主にマラリアの一種、三日熱をさした。えやみ。わらわやみ。瘧ぎゃく。

デジタル大辞泉

天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)

(「老子‐七三」の「天網恢恢、疏而不レ失」による) 天の網はひろく、その目はあらいようだが、悪人を漏らすことなく捕える。すなわち、天道は厳正で、悪事をなしたものは早晩必ず天罰を受ける。

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芋の子を洗うよう

手狭な場所で多くの人がごった返している・押合い圧し合いしているさま。「芋を洗うよう」ともいう。「芋の子」はいわゆる子芋のこと。

芋の子を洗うよう【いものこをあらうよう】 | 実用日本語表現辞典 (practical-japanese.com)

節(ノット)、粁(キロ)

赤誠(せきせい)

少しのうそいつわりもない心。虚飾なくありのままの真実。まごころ。まこと。丹誠(たんせい)。赤心。丹心。

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こちらも戦時中にタイムスリップする話です。

思わず泣いてしまいました。

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