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『星やどりの声』 朝井 リョウ(著)感想【父がつくった喫茶店】

こんにちは、こうへい(@koheinoblog)です。

小説『星やどりの声』 朝井 リョウ(著)を紹介します。

父を亡くした、母と三男三女の家族の物語です。

いい人しか登場しない、やさしい世界です。

オススメ度:

特におすすめな方

朝井リョウの初期の作品が好きな方

やさしい物語が好きな方

Kindle Unlimitedに入っている方

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あらすじ

東京ではない海の見える町で、喫茶店「星やどり」を営む早坂家。三男三女母ひとり。亡き父が残した名物のビーフシチューの香りに包まれた生活には、慎ましやかながらも確かな幸せがあった。しかし、常連客のおじいちゃんが店に姿を見せなくなった頃から、家族に少しずつ変化が。各々が葛藤を抱え息苦しくなる早坂家に、父が仕掛けた奇跡が降りそそぐとき、一家は家族を卒業する。

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感想

やさしい物語で好きです。

わくわくするような激しい盛り上がりも、号泣してしまうような感動もないのですが、心に染み渡るような本です。

おいしいビーフシチューが食べたくなります。

大家族なので各章の量というのは限られており、深い展開ができないのは仕方がないと思います。

それでも、どの章もじんわりあたたかくて好きです。

読む人によって、登場人物の誰に感情移入して好きになるかというのは違うと思います。

僕が好きなのは双子の姉・小春です。

典型的なギャルかと思えば、そうではありませんでした。

双子の妹のるりとずっとすべておそろいだったのに、入院中の父親にるりが小春と間違われてから、派手な化粧を筆頭に真反対に変わりました。

二度と見間違われないように。るりが傷つかないように。

またミュージシャンを志す年上の彼氏と付き合っている理由が、お金と自由を持っていても夢は叶わないことを確かめるためというのが驚きでした。

きっかけはそうかもしれないが、今は好きだと勝手に思っています。

自分の夢のためにカラーコーディネートの勉強もがんばっています。

この本は何度か読んでいますが、以前は長女・琴美の苦しみがわかっていませんでした。

以前は、物語の途中までは知っているはずのないことをなぜか知っているエスパー、そして真相がわかると父の遺志を受け継いだ強い姉という印象でした。

今回読んで思ったのが、琴美も精一杯だったんだということです。

いろんなことを背負っていたので、支えてくれる孝史がいてくれてよかったです。

そういえば朝井リョウの作品は初期のものばかり読んでいて、最近のものはあまり読んでいないです。

『正欲』はそのうち読みたいです。

印象に残った言葉


本を借りるって、自分がこういう人ですってバレてしまうみたいで、ちょっと恥ずかしい。伯父は、そういう気持ちをわかってくれている気がする。


好きだったからじゃない。佑介のそばにいて、確かめたかったからだ。
お金と自由、その二つを持っていても、夢は叶わないということもあること。


「大人になる瞬間なんて、ないんだよ」


「小春はやさしいの。私と違うふうになろうとしてくれた。お父さんが二度と見間違えないように、小春が変わってくれたの」

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