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『カエルの小指』 道尾 秀介(著)感想【だまされるのを楽しもう】

こんにちは、こうへい(@koheinoblog)です。

小説『カエルの小指』 道尾 秀介(著)を紹介します。

『カラスの親指』の続編です。

またしても想像がつかない結末でした。

この小説のキーワードは「恋愛詐欺」「不公平」「実演販売」です。

『カラスの親指』 道尾 秀介(著)感想【気持ちよくだまされた】

オススメ度:

特におすすめな方

『カラスの親指』を読んだことがある方

読書でドキドキしたい方

不公平を許せない方

あらすじ

詐欺師から足を洗い、口の上手さを武器に実演販売士として真っ当に生きる道を選んだ武沢竹夫。しかし謎めいた中学生・キョウが「とんでもない依頼」とともに現れたことで彼の生活は一変する。シビアな現実に生きるキョウを目の当たりにした武沢は、ふたたびペテンの世界に戻ることを決意。そしてかつての仲間―まひろ、やひろ、貫太郎らと再集結し、キョウを救うために「超人気テレビ番組」を巻き込んだド派手な大仕掛けを計画するが…。

目次
THUMB/Finding him
INDEX FINGER/Go this way
MIDDLE FINGER/F××k it off
RING FINGER/They need an ointment
PINKY/Crow's "pinky"
PALM/A murder of crows

感想

前作の『カラスの親指』がきれいに終わったので続編はどうなるのか想像できませんでしたが、登場人物を引き継ぎつつも新しいキャラクターが登場し新たな展開でおもしろかったです。

またしても想像の斜め上をいかれました。

気づくのはまず無理でしょう。

しかし、読後感はまったく悪くありません。

どんでん返しと人情味あふれる結末は、今回も健在でした。

テツさんはもういませんが、テツ(鉄平)がいます。

両親にはない機転をテツさんから色濃く受け継いでいます。

まさかの登場人物も前作に引き続き登場していました。

今回も主人公グループがペテンを駆使して大仕掛けを計画しますが、まひろのせいで作戦が失敗しないか心配でドキドキさせられました。

何かとキョウにつっかかったり、だまさなければいけない相手にほだされたり、本気で裏切るのではと思ってしまいました。

結局計画通りになんていきませんが、終わりよければすべてよしです。

印象に残った言葉


上から「目」「耳」「身体」。この三つのどれを重視するかは人によって違い、「利き腕」や「利き足」と同じように「利き五感」と呼ばれる。


「でも一人じゃ難しいから、お前らに手伝いを頼んだ。お前と、まひろと、やひろと、テツと──」

知らなかった単語・知識

「欺」すという字

左側が農具の箕──作物を集める道具を表し、右側は人が口をあけて驚いている様子を表すという。

カエルの小指

蛙化現象

片思い中は相手に夢中だったけれど、両思いになったとたんに、相手が気持ち悪くなったり興味を持てなくなったりする現象。

意味は知っていましたが、由来は知りませんでした。

グリム童話の『カエルの王子様』ではカエルが最後に王子様になりますが、その反対に、王子様に見えていた人が気持ち悪いカエルに見えてしまうという現象があるそうです。

カエルの小指

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