こんにちは、こうへい（@koheinoblog）です。
小説『神様の定食屋』 中村颯希（著）を紹介します。
両親亡き後、兄妹が定食屋を継ぐ話です。
料理はどれも美味しそうで、エピソードもほっこりするものばかりでした。
この小説のキーワードは「てしをや」「思い出の料理」「憑依」です。
オススメ度：
特におすすめな方
料理をするのも食べるのも好きな方
普段あまり読書をしない方
Kindle Unlimitedに入っている方
（2022/11/16時点ではこの作品が読み放題の対象に入っています。）
あらすじ
両親を事故で失った高坂哲史は、妹とともに定食屋「てしをや」を継ぐことに。
ところが料理ができない哲史は、妹に罵られてばかり。ふと立ち寄った神社で、「いっそ誰かに体を乗っ取ってもらって、料理を教えてほしい」と愚痴をこぼしたところ、なんと神様が現れて、魂を憑依させられてしまった。魂に料理を教わる代わりに、その魂が望む相手に料理を振舞い、未練を解消してやってほしいということらしい。
母親から息子へ。店主から常連へ。姑から嫁へ、夫から妻へ――。
料理には誰かの想いがこもっていることを実感する、読んで心が温まる一冊。
目次
一皿目 チキン南蛮
二皿目 天たまかけご飯
三皿目 具だくさん豚汁
四皿目 フレンチ風オムライス
五皿目 「てしをや」名物・唐揚げ
おかわり ほくほくおでん
感想
話がおもしろいですし、構成が一貫していてかなり読みやすいので普段あまり読書をしない方でも楽しめると思いました。
①哲史が神様に願い・悩みを話す。
②神様は、未練により成仏できていない死者と哲史を結ぶ。
③哲史が死者の未練を解決する過程で、自分の悩みも解決する。
流れは同じですが、毎回悩みや料理が違うので飽きることもありません。
出てくる料理が食べたくなり、そして未練・悩み解決にほっこりすること間違いなしです。
序盤では定食屋の名前「てしをや」が、「手塩にかけて育てた子どもに食べさせるような料理を」という想いから付けられたと出てきます。
終盤では、本当の由来が「哲史、志穂、親二人。家族四人で、てしをや」だとわかります。
志穂は知っていましたが、哲史だけ知らなかったのです。
もっとはやく知っていれば、哲史が疎外感や寂しさを感じることもなかったのに…。悲運としか言えません。
お酒の名前は出てきませんが、福井の銘酒でラベルが黒字に金文字とくれば、間違いなく「黒龍」です。
ストーリーにはそれほど関係ないですが、好きな日本酒が出てきて嬉しくなってしまいました。
一方オムライスの章で、ケチャップライスに対して「てっきり幼稚な味に仕上がっているのかと思いきや」という表現が出てきたのが少し悲しかったです。
実際はそうではなかったという展開ではありますが、そもそも幼稚な味と思うのかなあと。
オムライス好きとして、ここだけはいただけません。
次作もあるようなので、すぐに読みたいと思います。
印象に残った言葉
「……やってみたら、些細なことだったんです。家から出るのも、就活するのも。母親が突然いなくなってしまうことに比べれば、全然、なんにも、怖くなんてなかった。なのに、……っ」
けれど俺は知っていた。銀二さんといい、梅乃さんといい、素直でない人たちの未練をなくすためには、こちらからちょっと背中を押してしまったほうがよいのだと。
哲史、志穂、親二人。家族四人で、てしをや。この店は、うちの家そのものなんだよ、という妹に、俺はぽかんと口を開けた。
（看板メニューだってさ、唐揚げは志穂の大好物でしょ。で、チキン南蛮は、あんたの大好物じゃない）（おまえも志穂も、馬鹿みたいに揚げた鶏肉ばっか、うまいうまい、って食ってただろうが。あんまりうまそうに食うから、それがきっかけで、この店を始めたのに）
俺の手を動かし、握った拳同士をごつんとぶつける。どちらも自分の手で、奇妙な感覚だったが、それは紛れもなく、男同士の約束だった。
知らなかった単語・知識
米の炊ける匂いを避けるように、冷や飯を頼んだ
マイナビニュースの既婚女性会員に対して「妊娠中つらいと感じたにおい」について聞いたところ、1位は「ご飯を炊くにおい」で、25.7%を集めた。以下、2位は「香水、芳香剤/シャンプー」で5.6%、3位「たばこ」は4.2%、4位は「食べ物全般」で3.5%、5位は「揚げ物/炒め物」と「肉類」で、ともに2.8%となった。また「特にない」は27.8%、その他も27.8%だった。
妊娠中、つらいと感じた"におい"は何? | マイナビニュース (mynavi.jp)
セマニフィック！
C'est magnifique.｜すばらしい
プログレッシブ 仏和辞典 第2版
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