こんにちは、こうへいです。
小説『推し、燃ゆ』 宇佐見りん(著)を紹介します。
いわゆる推し活が生きがいの女性を描いた物語です。
2021年第164回芥川賞受賞作です。
オススメ度:
特にこんな方におすすめ
推しがいる方
純文学が好きな方
文学賞受賞作を読みたい方
あらすじ
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈“することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し——。
感想
弱冠21歳にして、この作品を書き上げたこと素直に尊敬します。
純文学に現代の要素を融合させて描き、芥川賞受賞も納得です。
ストーリー自体にはそれほど突出したおもしろさを感じませんでした。
ただおもしろさで判断する作品ではないとも思いました。
生々しさ、生き様をぶつけられ、自分の中で消化しきれずにいます。
推しがいない僕でさえそうなのですから、推しがいる方が読むと尚更でしょう。
オススメ度を3.5にしているのはあくまで個人的な好み・相性の問題です。
昔から芥川賞受賞作、というより純文学とは相性がよくないのです。
純文学の魅力は心情・情景の描写だと思っています。少し難解な表現もあると思います。
僕は描写よりストーリーを重視しているきらいがあります。
それがなんとなく自身の読書の浅さにつながっているようで嫌なのですが、仕方がないと割り切っています。
小説は娯楽として読んでいるので、無理に相性が合わない本を読む必要はないのではないかと思うのです。
ただし純文学という分類ですべてを一緒くたにして、読まないとするのも少し違うような気もしています。
自分の好みが変わることもあるでしょうし、少しでも興味がわけば読みます。
印象に残った言葉
世間には、友達とか恋人とか知り合いとか家族とか関係性がたくさんあって、それらは互いに作用しながら日々微細に動いていく。常に平等で相互的な関係を目指している人たちは、そのバランスが崩れた一方的な関係性を不健康だと言う。脈ないのに想い続けても無駄だよとかどうしてあんな友達の面倒を見てるのとか。見返りを求めているわけではないのに、勝手にみじめだと言われるとうんざりする。あたしは推しの存在を愛でること自体が幸せなわけで、それはそれで成立するんだからとやかく言わないでほしい。
知らなかった単語・知識
非難囂囂(ひなんごうごう)=非難轟轟