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完結編『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下)』二宮敦人(著)感想

こんにちは、こうへいです。

小説『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下)』 二宮敦人(著)を紹介します。

シリーズ第3作目、最終巻です。

医者というよりは患者とその家族に焦点を当てた物語で、今までの話がつながるいい終わり方でした。

オススメ度: 

特にこんな方におすすめ

感動する小説が好きな方

希望が持てない方

Kindle Unlimitedに入っている方

『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下)』あらすじ

少年時代に入退院を繰り返し、ただ生きるだけの日々を過ごしていた桐子。だが、一人の末期癌患者との出会いが彼を変えた。奇しくも、その女性こそ幼き福原の母だった。彼女の命を賭けた願いとは?なぜ、人は絶望を前にしても諦めないのか?再び、二人が「ある医者」との闘病に挑む時、涙の真実が明らかになる。流転する時を越え、受け継がれる命が希望の未来を生む―読む者に生き方を問い直す、医療ドラマ第二弾。感動の完結編!

第二章 とある母親の死
第三章 とある医者の死

『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下)』感想

このシリーズを読んできてよかったと思いました。

上巻も含めて第二章・第三章はつながっていて、いい終わり方でした。

桐子が患者である院長・欣一朗だけでなく、その家族である福原のこともケアするのが感動的です。

やはり桐子は冷たい性格なんかではありません。

欣一朗と福原の親子関係はかなり歪ですし、この父親に正直共感はできないですが、福原が納得できたならそれで十分です。

それにしても絵梨の存在が大きすぎます。

桐子も欣一朗も、絵梨がいなければどうなっていたことでしょう。

そんな絵梨も一時は希望などまったく持てず、絶望しかなかったというのは驚きでした。

希望が持てないときは自分の力だけでなんとかしようとしなくていい、他の誰かに希望をもらうこともあるという言葉が実体験からきた心のこもったものだったからこそ、桐子の心に響いたのではないでしょうか。

僕も周りの人から与えられる影響は大きいと思います。

前作から登場していた少年「カズ」が福原雅和ということに、本作の途中で気づきました。

桐子は昔も下の名前ではなく桐子と表記されていた、そして福原の下の名前を覚えていなかったというのはありますが気づけなかった自分が少し恥ずかしいです。

性格も今とはまったく違い、弱虫という印象でした。

そういえば、前作のあらすじで「それぞれに壮絶な過去が呼び覚まされるのだった」と書いてありました。

小説はかなり読んでいる方ですが、こういった勘は鈍いなと思います。

その分、驚きや感動も感じやすいので悪いことばかりではないのですが…

桐子と同室だった絵梨が福原の母親だったというのは、フィクションならではのできすぎな設定ですが僕はありだと思います。

桐子と福原は幼少期に偶然出会っていたのですね。

ただし、桐子がその事実に気づいて思い出話やその他エピソードが描かれるのかと思っていたのですが、全然なかったので残念でした。

桐子が気づいたのは最後のシーンでしたし、含みのある台詞はあったものの福原が気づくことはありませんでした。

『最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下)』印象に残った言葉


病気の前では、年齢なんて関係ないのかもね。どの闘いも、その人だけの闘いなんだから。


楽だけど、何もすることがないより。辛くても、何かをしたいんだ。


「だから桐子君。自分の理屈だけで、生まれてきたのが間違いだったなんて言わないで」桐子の唇は震えた。「あなたの中に希望がないなら、そばにいる誰かの中に、希望はこっそり隠れてる」


本当に仕事のために家族が欲しいと思っている人だったら、わざわざそれを私に今、言わないでしょ。もっとうまくやるよ、きっと。本心は隠しきって、完璧な男性を演じて、無駄な時間は使わずに結婚すると思うな。


子供ができたらあなたは変わる、だって?  ふざけるな。もう、とっくに変わってしまっている。前の俺ではない。これ以上俺を、どうするつもりなんだ。

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