こんにちは、こうへいです。
小説『最後の医者は桜を見上げて君を想う』 二宮敦人(著)を紹介します。
医療がテーマの小説で、各章で死に直結するような病気が出てきます。
生と死について考えさせられます。
オススメ度:
目次
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』あらすじ
あなたの余命は半年です―ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副医院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは?究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか?それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。
第一章 とある会社員の死
第二章 とある大学生の死
第三章 とある医者の死
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』おすすめな人
感動する小説が好きな人
この小説もそうですが、医療小説には感動する作品が多いです。
それは、死が隣り合わせの状況において人間の感情はむき出しになるからだと思います。
読んでいる側も心を揺さぶられます。
生と死についてあまり考えたことがない人
死生観について対立する医者が出てくるので、より考えさせられます。
小説なので押しつけがましくなく、今まであまり考えたことがない人にとってもきっかけになるのではないでしょうか。
副院長の福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めません。
桐子は死神と呼ばれ、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説きます。
手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』におけるブラック・ジャックとドクター・キリコの関係を思い出しました。
筆者が、桐子という名前をつけたのも意図的でしょう。
Kindle Unlimitedに入っている人
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『最後の医者は桜を見上げて君を想う』感想
各章のタイトルからもわかる通り、始めからなくなってしまうことはわかっています。
第二章、第三章は「死」を向かえるとはいえ、患者の意思を尊重した結果でした。
特に第二章のALSに罹患した女子医大生の生き様には心打たれました。
第一章は読んでいてつらかったです。
幸せの絶頂期に病気が発覚し、心に余裕がなくなり最愛の人にさえきつく当たってしまう。
そして悩み覚悟を決めて受けた手術も…
頑張ったから報われるわけではなく、確率に翻弄されてしまう。
やるせない気持ちでいっぱいになりました。
改めて医師という職業に感服しました。
所属科によっても様々なのでしょうが、死と隣り合わせの毎日を過ごしています。
仕事だからといって割り切れるはずもありません。
「生」が絶対の福原、患者のためには「死」を受け入れる道もあるという桐子、そして対立する2人の間を取り持ち、患者と一緒になって考える音山。
全員の考えは理解できますし、絶対の正解はありません。
ただ僕は福原に共感できず、あまり好きになれませんでした。
患者のためを思っているのはわかりますが、肝心の患者自身の気持ちが置いてきぼりになっていると感じました。
死生観というのは、普段からなんとなく考えているようで、実はあまり考えられていないと思います。
自分の死については、健康な状態ではなかなか考えないものです。
死生観がないと、自分自身についてはもちろんですが、身近な人の死を受け入れることも難しい。
もちろん死生観があっても、いざ余命が少なくなれば恐怖を感じるでしょうし、直面しなければわからないことも多いでしょう。
ただ、少しでも後悔しないような生き方を選べるんじゃないかなとは思うのです。
そういう意味では、小説の存在って大きいのではないでしょうか。
小説はフィクションですが感情移入してしまいますし、死生観について考えるきっかけになると思います。
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』印象に残った言葉
いくつもの確率をくぐり抜けなくてはならない。ただ生きるだけなのに。これまで、簡単にできていたことなのに。
生き方を失った生は、死に等しいのではないでしょうか。逆に、生き方を維持して死ぬことは、生に等しいとは言えないでしょうか。
福原、君は病気とばかり向き合っている。
死を敗北にしてはならない。死を敗北にしてしまったら、そこに向かう人があまりに報われないではないか。
「私、すぐに不安になる性格なんです。でも音山先生はいつも、優しく笑ってくれます。患者が不安にならないように、気を遣ってくださっているのがわかるんです」
それは笑顔という安易で無難な仮面を、誰にでも向けているだけでしかない、そう思った。
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』知らなった単語・知識
電子カルテでは、死亡した患者の名前に†(ダガー)が付けられる決まりだ。
短剣符
短剣符 - Wikipedia
欧文の約物の一つ。「†」(短剣符、剣標、ダガー、オベリスク)と、その変形の「‡」(二重短剣符、二重剣標、ダブルダガー、ダブルオベリスク)がある。いくつかの異なる分野において各個違った意味を持つ記号やシンボルマークとして用いられている。
現在では引用元などの脚注の存在を示すために用いられることが多い。学術雑誌で、著者の名前の肩に記号を置き、脚注に所属を示すなどの用途で短剣符や二重短剣符が用いられることがある。技術雑誌で、専門用語の肩に記号を置き、脚注で用語解説するために用いることもある。
他に、剣が十字架のようにも見えることから、キリスト教圏での墓と見立て、人名や日付の後ろに置いて、死亡した人の名前や歿年を表したり、特に戦死した人を示すのに用いる事もある。
また、生物の種名や言語名、それらのグループ名の前もしくは後につけて、すでに絶滅していることや死語となっていることを示すために用いられることもある。