こんにちは、こうへいです。
小説『塩の街 (角川文庫)』 有川浩(著)を紹介します。
塩に埋め尽くされた世界が舞台のファンタジー&恋愛小説です。
有川浩のデビュー作であり、第10回電撃ゲーム小説大賞受賞作でもあります。
オススメ度:
目次
『塩の街 』あらすじ・情報
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋葉と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だが―「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。
・ページ数:444ページ
・価格:734円
『塩の街 』がおすすめな人
甘い小説が好きな人
正直有川浩を超えるほどのベタ甘な小説家はぱっと思い浮かびません。
ただ有川浩の小説の中でもこの作品は、ベタ甘まではいかずに程々な気がします。
お試しいただくのにちょうどいいですよ。
小説を読みたいけれど1冊読み切る自信がない人
元々この作品は第10回電撃ゲーム小説大賞受賞作ということもあり、電撃文庫から発行されていました。
その後かなり加筆もされていますがテイストは変わりませんし、ライトノベルと言っていいと思います。
ページ数は400以上あっても、章が変わると視点も変わるので飽きにくいはずです。
なによりおもしろいです。
自衛隊が好きな人
自衛隊3部作と呼ばれているだけあって、もちろん自衛隊が出てきます。
あまり知らない僕でも読んでいてかっこいいと思ったので、自衛隊が好きな人ならなおさらだと思います。
もちろん自衛隊に特に思い入れがない人でも気にすることはありません。
異常事態のファンタジー&恋愛3部作という方が近い気もするので。
『塩の街 』感想
まずこんなにおもしろい小説をデビュー作で描けるのはすごいと思いました。
舞台設定、キャラクター、ストーリーすべてです。
塩害という現象が出てきますが、一般的な塩害ではありません。
一般的には、潮風や高潮によって農作物や建築物が被害を受けることを意味します。
この作品の塩害はもっと直接的に人間に被害を与えます。
ありえない設定ではありますが、しっかりと作りこまれており、全く違和感を抱きません。
一気に物語に引き込まれます。
真奈もそうですが、有川浩が描くヒロインは感受性が強く涙もろいが、意外と芯が強く性根が座っている少女が多い気がします。
逆境にぶつかったときにこそ真価を発揮します。
その逆境というのは秋庭が世界を救おうとする際に訪れますが、すべては秋庭の腐れ縁である入江のせいです。
この入江がとんだくせ者で、始めは読んでいてイライラするのですが、最終的には嫌いになれない自分に驚きました。
他にも魅力的な登場人物ばかりです。
有事だからこそ、本来出会うはずがなかった人たちが出会い織りなす物語は色濃く感じられます。
『塩の街 』印象に残った言葉
秋庭を遼一も真奈が謝る理由を知っていた。まったく、このご時世に、まるで宝物のような。関係ないのに泣いてごめんなさい。真奈はそう謝っているのだ。
好きな人のためだけに作戦引き受けたんだって。世界とか人類とかどうでもよかったんだってさ。
お袋きっと泣いてるぞ。臨終に間に合わなかったあんたを恨んで死んだなんて思われちゃあな。
『塩の街 』学んだ単語・知識
にべもない(膠も無い)
そっけない、愛想がない、といった意味。
https://www.weblio.jp/cat/dictionary/jtnhj
この場合の「膠」は、ニベ科の魚の鰾(うきぶくろ)を原料にして作られた膠(にかわ)のことで、粘り気の比喩。
自衛隊の階級について
小説だけではわからない部分もあったので調べてみました。
自衛隊には階級があり、全部で16階級定められています。
防衛省・自衛隊:自衛官の階級 (mod.go.jp)
「幹部」は、3尉以上の自衛官のことで、部隊の骨幹として、強い責任感と実行力で部隊を指揮する立場にあり、卓越したリーダーシップが必要とされます。
「曹」は、専門分野における技能を有するほか、士を直接指導し、幹部を補佐する立場にある者。「士」は、曹などの指揮下で各種の任務を直接遂行する立場にある者のこと。曹と士の人数を合計すると、自衛官の定員の約8割に及ぶ。
「准尉」とは、3尉以上の幹部自衛官と曹の間の階級で、曹士隊員をまとめて指導し、幹部の補佐を行います。