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『よるのばけもの』 住野よる(著)【自分はどうしたいのか、どうするべきか】

こんにちは、こうへい(@koheinoblog)です。

小説『よるのばけもの』 住野よる(著)を紹介します。

昼は人間、夜はばけものになる主人公の心情をメインに描いた物語です。

この小説のキーワードは「ばけもの」「同調圧力」「本当の自分」です。

オススメ度:

特におすすめな方

中学生・高校生

中高生の子どもがいる方

周りの目を気にして本当の自分を出せていない方

あらすじ

夜になると、僕は化け物になる。寝ていても座っていても立っていても、それは深夜に突然やってくる。ある日、化け物になった僕は、忘れ物をとりに夜の学校へと忍びこんだ。誰もいない、と思っていた夜の教室。だけどそこには、なぜかクラスメイトの矢野さつきがいて―。大ベストセラー青春小説『君の膵臓をたべたい』の著者が描く、本当の自分をめぐる物語。

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感想

人間がばけものに変身するという非現実的な設定ながらも、物語の根底にあるテーマはかなり現実的でした。

いじめ・同調圧力があるクラスに所属する主人公の心情を描いています。

ばけものになっているときでも感情はそのままです。

いじめそのものというよりはむしろ同調圧力が1番の根本原因であり、問題ではないかと思います。

いじめられている人と関わると、その人までいじめの標的にされてしまうというのが現実でも存在するようです。

僕は学生のとき恵まれた環境だったのか、自分の知る限りではクラス内・学校内でいじめはありませんでした。

そのため小説などでいじめの描写を見ても実体験と結び付けて考えることができません。

それでも暗黙の中の軽い同調圧力、いわゆる「空気を読め」といった雰囲気はありました。

それがエスカレートすると物語のような状況が起きうるのだと思います。

最近の学校について実情を知らないのではっきりとは言えませんが、多様性が認められてきている現在でもまだあるのでしょう。

著者はそんな状況に一石を投じ、考えるきっかけをくれました。

学生でも社会人でも集団で生活する以上、少なからず周りの目を意識した行動というのは必要です。

ただし求められたキャラクターを演じ、その場は楽かもしれませんが自分を内側から苦しめることになっては悲しいです。

笠井と緑川についてはもう少し掘り下げられると思っていたので、最後まで謎が明らかにならなくて残念でした。

緑川が笠井のことを悪い子と言ったのはなぜなのか?

矢野がいじめられる原因となった出来事、矢野が緑川の本を投げ捨てたのはなぜなのか?

著者はあえて謎のままにして回収しなかったのでしょうか、気になります。

矢野はもう夜休みの学校へ来ることはないのでしょうか。

昼の仲間がたった1人でもできたので、それほど必要ではなくなったのではないかと思います。

ばけものは、あっちーの罪悪感が生み出したのでしょうか。

印象に残った言葉


極端な考え方を持った、頭のおかしな奴。
そんな奴だから、彼女のおかれている状況をしょうがないと思えた。
でもひょっとしたら彼女が、必死に自分なりに考えて行動し、生きているんだとしたら、どうだ。


無視されると分かっている相手に挨拶をしながら、いつだって矢野はにんまりと笑う。
それが、頭がおかしい故にやっていることではないと知っているのは俺だけだ。
本当は怖いんだと知っているのは、俺だけだ。


「おはよ、う」

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